団鬼六賞とは


あなたにしか創れない情愛世界、新たな官能小説の可能性を拓く作品を―

2010年、存命中の団鬼六氏の賛同を受け、開始された未発表原稿応募形式による孤高の官能小説文学賞。

「マゾヒズム、サディズムの不可解さ、究極の快楽を極めんとする貪欲なまでの欲望、SはMを、MはSを求めるのは宿命、その宿命に忠実な人間の気高さ、滑稽さ、悲哀」

そこを見つめた団鬼六小説。

「SM小説は単なるポルノでは終わらせない、俺が‘文学’にまで高めてやる」

老いてなお盛んだった闘争宣言。

男女の情愛と人間の業を、徹底的に肯定し、文学として昇華する覚悟――。

情愛と業を徹底的に肯定すればするほど、物語はアウトロー化し、脱出口のない深みに嵌まるかもしれません。

しかし、その苦闘の産物こそが小説であり、文学であり、読み手を妄想の彼方へ引きずりまわすふたつとない豪華船だと思います。

官能文芸誌「悦」は僭越ながらその役割を担いたいと考えました。

常識やルールに縛られない恋愛小説。そこには妄想の復権が叫びとしてあります。あらゆる場所が閉塞感で満ちているいま、妄想力に溢れた情愛小説こそがなにかを突破していくと信じています。

及ばずながら、小誌は団鬼六氏の遺志を継ぎ、その闘争宣言に賛同し、SM小説ということに囚われることなく、広く官能小説の文学賞・団鬼六賞の主催を担い、可能な限り続けて参りたいと考えています。

第一回


大賞

「花祀り」

花房観音

優秀作

「花鳥籠」

深志美由紀

開催 2010年9月
選考委員 団鬼六、重松清、高橋源一郎、睦月影郎
(敬称略・順不同)
応募総数 58作品
最終選考作品 4作品

第二回


大賞

「蝮の舌」

うかみ綾乃

優秀作

「淫府再興」

沢里裕二

選考委員 藍川京、石田衣良、高橋源一郎
(敬称略・順不同)
※悦Vol.7」にて最終選考会の模様を掲載

団鬼六賞受賞作品